九州地方では、バラエティ豊かな特急列車が多数運行されている。それはまさに「特急王国」と言っても過言ではないかもしれない。そんな見るものを楽しませてくれる九州の特急列車の一部を紹介して行こう。

九州新幹線 みずほ・さくら・つばめ

九州新幹線は2004年に新八代駅〜鹿児島中央駅間で部分開業され、2011年に博多駅〜新八代駅が開業し、九州新幹線「鹿児島ルート」が全線開業した。

部分開業時から運行されている「つばめ」は、同区間の在来線特急列車の名称を引き継ぎ、博多駅〜鹿児島中央駅間で各駅停車タイプとして運行されている。

全線開業時から運行を開始した「みずほ」「さくら」は、山陽・九州新幹線を直通する新大阪駅〜鹿児島中央駅間で運行される速達タイプの列車である。停車駅が一番少ない最速達タイプは「みずほ」である。

九州新幹線で使用される車両は、800系と、N700系7000番台・8000番台。

800系は、初代新幹線0系をモチーフとしたふっくらしたデザインと、縦目のヘッドライトが特徴的で、九州新幹線の初代車両として登場した。現在は九州新幹線内のみで運行されている。

N700系7000番台・8000番台は、山陽・九州新幹線直通用として製造され、九州新幹線全線開業にて投入された。

A列車で行こう

都市構築型の経営シミュレーションゲーム・・・のことではなく、熊本駅〜三角駅間を、三角線(あまくさみすみ線)経由で運行する特急列車である。車両は、落ち着いた色調の木やステンドグラスで彩られたデザインとなっている。

列車名の頭文字「A」は、「南蛮文化が渡来した天草をモチーフに、ヨーロッパをイメージした大人の旅を演出」というコンセプトから、大人 (Adult) や天草 (Amakusa) の頭文字から取られた。

いさぶろう・しんぺい

熊本駅・人吉駅〜吉松駅間を、鹿児島本線・肥薩線経由で運行する特急列車または普通列車。熊本駅〜人吉駅間は特急列車、人吉駅〜吉松駅間は普通列車として運行される。

方向別に別々の列車名で運行されており、下り(熊本駅・人吉駅発)は「いさぶろう」、上り(吉松駅発)は「しんぺい」の列車名となっている。

日本三大車窓の一つである矢岳駅付近は「矢岳越え」と呼ばれ、この区間では徐行・停車を行った後に観光案内が行われる。

隼人の風

吉松駅〜鹿児島中央駅間を、肥薩線・日豊本線・鹿児島本線経由で運行する特急列車である。車体は、ロイヤルブラック一色に塗装された外観となっている。

2018年3月17日のダイヤ改正にて定期運行を廃止し、多客期の臨時列車として運行されることになった。

沿線の見どころの一つである「嘉例川駅」は、開業当初(明治時代)の木造駅舎のままの姿を残す歴史ある建造物である。

指宿のたまて箱

JR最南端路線である指宿枕崎線の鹿児島中央駅〜指宿駅間で運行している特急列車。白黒のカラーに分かれたボディ(海側が白、山側が黒)が特徴的である。

列車の名称は、薩摩半島の最南端にある長崎鼻一帯に伝わる浦島太郎伝説の玉手箱にちなんでいる。

JR最南端駅として有名な「西大山駅」を含む区間は、「指宿のたまて箱」は運行されていないので、枕崎駅・西大山駅方面へ行くには、指宿駅で普通列車に乗り換える必要がある。

ソニック

博多駅〜大分駅・佐伯駅間を、鹿児島本線・日豊本線経由で運行する特急列車であり、福岡県と大分県を結ぶ役割を担っている。車体は、白い885系とブルーメタリックの883系があり、両系とも振り子式車両である。

883系の愛称が「sonic(音速の)」であり、列車名「ソニック」の由来は、ここから来ている。

ゆふいんの森

博多駅〜由布院駅を運行する特急列車。車体は、落ち着いたグリーン色をまとうハイデッカー構造となっている。

「ゆふいんの森」は、鹿児島本線・久大本線・日豊本線経由で運行されていたが、久大本線の一部不通に伴い、2018年現在は、小倉駅・大分駅経由で運行されている。

(番外)リレーつばめ

門司港駅・博多駅~新八代駅間を、鹿児島本線経由で運行されていた特急列車。2004年3月に九州新幹線の新八代駅〜鹿児島中央駅間の部分開業に伴い、新八代駅で新幹線「つばめ」と接続するシャトル列車としての役目を担っていた。

2011年3月に九州新幹線の全線開業したため、「リレーつばめ」はその役割を終え、運行は終了した。