宮城県の仙台を訪れる度に、ほぼ毎回利用する思い入れがある路線がある。(自分は関東在住ではあるが)その路線とは「仙石線」。
仙石線は、2011年3月11日に発生した東日本大震災による影響を強く受け、津波に伴う駅ホームや線路の流出に伴い、一部区間で不通が発生していた。震災発生から4年と約2か月後の2015年5月30日に仙石線は全線復旧し、再び、仙台・あおば通駅~石巻駅を結ぶ路線として現在も活躍している。その仙石線の魅力について触れていきたい。

仙石線とは?

仙石線(せんせきせん)は、あおば通駅から仙台駅を経由し、石巻市の石巻駅を結ぶJR東日本の鉄道路線である。途中の松島海岸駅は日本三景で有名な松島の玄関口である。
仙石線の運行形態は、2015年5月30日のダイヤ改正以降、仙石線内のあおば通駅~石巻駅を運行する普通列車と、東北本線の仙台駅~高城町駅を経由し、石巻駅・女川駅まで運行する仙石東北ライン特別快速・快速列車に大別される。

【画像】仙石線 路線図
【画像】仙石線 路線図

東日本大震災に伴う不通から復旧まで

東日本大震災の影響で仙石線は甚大な被害を受け、一時は全線で不通となった。その後、同年3月28日にあおば通駅~小鶴新田駅間が運転再開、余震による再度の全線不通を経て、震災翌年の2012年3月17日時点で、あおば通駅~高城町駅間、陸前小野駅~石巻駅間で運転が再開した。仙石線全線が復旧するまでの間、不通区間の高城町駅~陸前小野駅間ではバス代行輸送(代行輸送区間は松島海岸駅~矢本駅間)が行われた。そして、震災による津波被害が大きかった高城町駅~陸前小野駅間では一部内陸に移設され、2015年5月30日に仙石線は全線復旧した。

仙石線沿線の紹介

実際の訪問機を元に、仙石線沿線について紹介していこう。

【仙石線沿線訪問:2015年9月】

■本塩釜駅

仙台駅から仙石線普通列車で約29分、本塩釜駅(宮城県塩竈市)に到着。本塩釜駅は塩竈市の中心部に位置する。

【画像】本塩釜駅に停車中の仙石線
【画像】本塩釜駅に停車中の仙石線

本塩釜駅から徒歩10分、志波彦神社・鹽竈神社に到着。

志波彦神社・鹽竈神社(しわひこじんじゃ・しおがまじんじゃ)は、宮城県塩竈市にある神社(二社が同一境内に鎮座)。志波彦神社は式内社(名神大社)。鹽竈神社は式外社、陸奥国一宮。両社合わせて旧社格は国幣中社で、現在は神社本庁の別表神社。神紋は「塩竈桜」。鹽竈神社は、全国にある鹽竈(鹽竃・塩竈・塩竃・塩釜・塩釡)神社の総本社である。

元は当地には鹽竈神社のみが鎮座していたが、明治時代に志波彦神社が境内に遷座し、現在は正式名称を「志波彦神社鹽竈神社」とし1つの法人となっている。(Wikipediaより抜粋)

【画像】鹽竈神社
【画像】鹽竈神社

■松島海岸駅

本塩釜駅から仙石線普通列車(石巻方面)で約10分、松島海岸駅(宮城県宮城郡松島町)に到着。日本三景・松島観光の玄関口である。松島海岸駅のホームからは松島湾を見下ろすことが出来る。

【画像】松島海岸駅 外観
【画像】松島海岸駅 外観

松島といえば、松尾芭蕉が作ったあの俳句で有名。『松島や ああ松島や 松島や』

ちなみに、松島に訪れるのは憶えている限りではこれで4回目。松島を訪れると、故郷に帰ってきたかのような懐かしい気持ちになる。

【画像】松島海岸の情景
【画像】松島海岸の情景

松島観光遊覧船の桟橋近くにある日本三景碑。他の日本三景である宮島(広島県)と天橋立(京都府)にもそれぞれ、日本三景碑が建てられている。

【画像】日本三景碑
【画像】日本三景碑

瑞巌寺内にある延命地蔵。瑞巌寺(ずいがんじ)とは、松島にある臨済宗妙心寺派の寺院。延命地蔵は、1863年の鋳造。延命のいわれは、当山117世の中方明哉和尚の業績や長命にあやかったと伝えられている。近隣まれな巨像で、塩釜や石巻の有志によって造営された。

【画像】瑞巌寺内にある延命地蔵
【画像】瑞巌寺内にある延命地蔵

■高城町駅

松島海岸駅から仙石線普通列車で約3分(松島海岸の次の駅)、高城町駅に到着。仙台方面からの仙石線の列車の半数程度は当駅で折り返しとなる。東日本大震災の影響により、2015年5月29日まで当駅〜陸前小野駅間は運転を見合わせ、当駅での折り返し運転が行なわれていた。

【画像】高城町駅 駅標
【画像】高城町駅 駅標

当駅からは、東北本線接続線を経由し、東北本線塩釜・仙台方面と、仙石線石巻方面の直通列車が運行されている。その系統路線名は「仙石東北ライン」という名称で案内されている。

【画像】高城町駅に停車中の仙石線(マンガッタンライナー)
【画像】高城町駅に停車中の仙石線(マンガッタンライナー)

■石巻駅

高城町駅から仙石東北ライン快速で約30分・仙石線普通列車で約40分、仙石線の終点である石巻駅に到着。

【画像】石巻駅 外観
【画像】石巻駅 外観

石巻駅から徒歩約13分、石ノ森萬画館に到着。石ノ森萬画館は、サイボーグ009や仮面ライダーなどを生みだした萬画家・石ノ森章太郎先生の世界を立体的に再現したマンガミュージアムである。

【画像】石ノ森萬画館 外観
【画像】石ノ森萬画館 外観

この石ノ森萬画館、東日本大震災で被害に見舞われた。この施設は旧北上川の河口に近い中州にあり、津波により1階の6.5メートル地点まで浸水した。その後長期休館を経て、2012年11月17日に再開館した。

【画像】休館中の石ノ森萬画館(2012年5月訪問時)
【画像】休館中の石ノ森萬画館(2012年5月訪問時)

休館中の2012年5月に訪問した際は、施設やその周辺には津波の爪痕が残り、とても寂しい状況であった。しかし今では、石ノ森章太郎先生が生み出したキャラクター達が明るく出迎えてくれる。活気が感じられ、とても嬉しく励まされる気持ちになった。施設は、石ノ森章太郎ワールドを堪能でき、見所満載である。

【画像】石ノ森萬画館 入口
【画像】石ノ森萬画館 入口

石ノ森萬画館を後にし、石巻駅から仙石東北ラインで仙台駅へ。仙石東北ラインは快速運行であり、仙台駅までは約1時間程。仙石線普通列車より約20分も早く仙台駅に到着することが出来る。

【画像】石巻駅で発車待ちの仙石東北ライン仙台行き
【画像】石巻駅で発車待ちの仙石東北ライン仙台行き

東日本大震災の被害から力強く復旧した仙石線。蘇った仙石線は今日も仙石東北ラインと共に、仙台と石巻を結ぶ鉄道路線として走り続けている。